3月19日。準備。

早朝自分以外誰もまだ出勤していない静かな事務所にけたたましい電話の音が。まだ7時過ぎ。
いらぬ予感がしながらも電話の受話器を右手で取る。内容は予想通りでその客先へ車を走らせる事に。
震災復興案件大詰めで職人誰も手が空いているはずもない。
朝礼、ラジオ体操を済ますと工具箱だけは手に取り車へ乗り込む。
案外車はスムーズに。渋滞にも捕まることなく指定時刻前に到着。
そこには担当者がお出迎え。案の定だ。もしかしたら。
機械が止まったのは他の原因。もちろん笑顔で即座に別れる。

明日早朝我が町福岡を発つ。目的地は宮城県仙台。2日間の道程。距離約1,500KM。
今回は試運転があるため職人と一緒だ。車で行くのは工具類を運ぶのもあるが大きな理由は経費削減だ。
儲からないどころか赤字の案件。東北被災された方々を思うと何のその。
赤字とは言えうちがお陀仏なんぞなれるもんか。
たんまりとある金額を外注先、仕入先に払い終える前に消えてなくなるなど
できるはずもない。

受注せねば。他の案件を追っかける。フォローもした。
メールで途中経過も入れた。
期限が迫っているが新規プロジェクトの申請も行わねば。
即座に完成するはずもない。車中、ホテルで仕上げよう。

事務所内は皆帰宅し自分一人になった。
静かな空間にけたたましい音が電話より鳴り響く。嫌な予感が。
やはりそうだった。即座に対応をせねばならない。おいおい。7時過ぎ。

明日早朝出発だよな。一体いつ出発の準備ができるんだ。
思わず椅子の背もたれに身を投げ白い天井を見上げる。
天井には何も書かれていない。自分で架空の文字を書くだけだ。

それでは股です。

1)失敗:想定外なんぞあるはずもない。
2)感動:居なくなる事に対し職人らは色よい返事。???
3)目標:準備を終え明日早朝無事出発。