5月4日。若いって。

やけに遅いな。とっくに帰って来ても良い頃だが。
あの工場に寄った後に行ってみるか。
一人ごつ。トラックに乗り込みハンドルを握る。
外は既に真っ暗だ。

今日は楽勝ですよ。早く終わらせて帰りますから。
職人らは笑顔を残して我が町工場を出発した。

やけに遅い。携帯へ電話するが誰も取らない。
果ては何かあったな。
不安を抱えトラックを運転する。

行き先の工場へ着く。既に時計は午後8時を回っている。
この工場若者も夜遅くまで頑張るな。
2名だけで残業していた。

完成した部品を荷台に乗せると向かった。
職人らがどうも手こずっているらしい現場へ向かった。
道は混んでいた。なかなか先へ進まない。
車の遅い速度という理由が余計に不安を大きくする。
おいおい。何だこの渋滞は。
わざわざ大きな深呼吸をし安全運転に努めようとする。
しかし、胸のざわめきは広がる一方だ。

いつもの倍の時間を費やしようやく目的の工場の前まで到達する。
やはり明かりが灯っている。
現場工事しているはずの場所のみが天井にぶら下がっている水銀灯であかあかと照らされている。

案の定だ。これはうまく行っていないな。
工場の玄関は既に仕切られている。裏口の狭い隙間にトラックを入れ込み先へ急ぐ。
行き止まりまで車を進めると降り早足で向かう。

職人らは俺を見つけると即座に皆が口を開く。
先ずは聞く。あいつらの言い分を。俺の脳みそに叩きこまねばならない。

即座に理解できた。うまく行っていない理由が。
ではどうするか。それそれが意見を出す。
議論がつきない。

おいっつ。なんかせんと終わらんぞ。話をいくらしたところで先には進まんぞ。

職人らは歩み出す。手強い相手に再度向かう。その場所へ再度立つ。

動かしてみてんやあ。俺の指示で稼働開始する。
言葉通りだ。上下運動がおかしい。途中で止まる。

若き職人が身を挺して止まった部分を覗き込む。
投光器を当てしばらく睨む。
原因はここです。その発言が次なる行動の合図だ。

皆で再度解体を開始する。そしてグラインダーで削る。
その切削音は長く続いた。音が止むと組立を開始する。
スイッチを入れて下さい。組立が完了すると動き始める。

結果は。やはりダメだ。途中で止まる。

若き職人が身を乗り出す。しばらく眺める。険しい顔つきだ。
ばらしましょう。その掛け声と共に又もや解体を始める。
グラインダーで削る音。しばらく続く。

俺は時計を眺める。
デジタルの数字は間もなく明日を示そうと必死になっている。
今日中に終わるのか。痒くもない頭をかこうとする。
しかし頭に被ったヘルメットが邪魔をし無駄な行為だった。

組み立てだ。削り音が終わると皆で組み立て始める。
動作ボタンを押す。動く。俺は思わず手を合わせる。
その動きから皆目を離さない。止まった。途中で又しても止まった。
おいおい。もう勘弁してくれと心が叫ぶ。

投げ出す訳にはいかない。途中であきらめる事など出来るはずもない。
明日の朝から稼働だ。生産ラインを止める事は出来ない。

眠たい目をこすりながら又しても解体を開始する。
解体した後身を乗り出すのはやはり若き職人。
停止した部分をしばらく眺める。
若き職人はかなり長い時間睨んでいたが次には手を出し触る。
何度も指を往復させる。ゆっくりと静かに。

顔を上げ俺を見る。そして笑顔で言う。
今後は大丈夫です。
俺は思わずおいっつ。本当か。もう明日になるぜ。何とかなるとや。と元気のない声を出す。

グランダーで音が静かな工場内で響き始める。
耳に伝わる騒音は最も長かった気がする。
長い間顔は下を向き俺はその場に立ちすくんでいた。

ふと顔を上げると組立が始まっていた。。。


その後どうなったかは。

天は我々を決して見捨てなかったと言う事だ。



それでは股です。



1)失敗:眠い。
2)感動:世間は五月晴れ。
3)目標:最後4件目の申請書類。すたこらさっさで完成。





何故だ。これはアップできない。
【379回目。バイオマス燃料化システムについて。】