2011.6.5 何故焼きばめをするのですか。(1)焼きばめとは。

我が町工場では焼きばめを盛んに行います。それにはもちろん理由があります。では焼きばめとは一体何でしょうか。そして何故焼きばめを行うのでしょうか。もちろんその製作物により製作方法は異なります。今回は焼きばめが最も適していると考えられる状況での説明ということは先ず最初に記しておきます。下記に写真を掲載しておりますが大きな車輪と軸との固定結合です。

■焼きばめとは
熱膨張と収縮を利用して二つの物体を結合する方法です。一般的には外側に位置する部品を加熱膨張して内径を広げ、これに内側部品をはめ込みます。そして常温に戻し外側の収縮によって両者を結合する方法です。
穴に、シャフト(棒、軸)などをはめる際に、通常であればきつくてはまらないぐらいの寸法の物をわざと作り、穴の方を加熱して膨張、大きくさせシャフトを突っ込みます。室温に戻ると、穴の径が小さくなり固定され決して外れことなくはまります。この際の穴の大きさは公差、はめあいではしまりばめです。

では穴にシャフトを入れ固定する方法は焼きばめ以外には何があるでしょうか。

  • 溶接により固定
  • キー溝、セットボルト、カラー等による固定
  • 削り出し

上記3種類が考えられると思われます。

・キー溝、セットボルト、カラー等による固定
弊社でもよく利用します。今回は車輪が大きくキー溝加工出来る機械が弊社にはなく外注となるとコストが高いため利用しません。又、セットボルト固定のみでは緩み外れる可能性があります。

・削り出し
削り出しは軸と相手側一体ものとして旋盤切削加工により作るのですがコストが高くこの方法では製作しません。但し、小さな加工品であれば削り出しでの製作品も多々あります。

・溶接により固定
この溶接による結合がコスト面そして軸が外れる事が無く最も適しているように思われます。ところが溶接時の高温による材質変化により大きな力が加わった際軸亀裂が入り最終的には折れる場合があります。
小生自身も実際拝見した事があります。軸と車輪の溶接結合部ではなく軸の溶接部付近に亀裂が入っていました。
では何故溶接固定により軸に亀裂が入ってのでしょうか。次回よりその検証を含めて記していきたいと思います。

今回は下記に最近実際行った焼きばめの様子の写真と動画を掲載します。動画については音楽が入っていますので音量はお気をつけ下さい。

(ご指摘受けました。焼きばめ温度管理は重要でなるべく焼き戻し温度以下で行った方が良いとの事です。今後弊社でも気を付けようと思います。但し、写真工程の焼きばめ作業後は高周波焼き入れを行います。)


それでは股です。

動画【今日は焼きばめ三昧。 2011.6.3】